背景
約30年前、インターネット普及と同時期に開始されたストリーミング(メディアコンテンツのネットワーク配信)は、現在、国内約1兆円の産業となりました。そして、メディア先進国である米国において、すでにストリーミングは、テレビ放送やCATVを超え、市民生活において最も長い接触時間を持つメディアになっています。
このように、ストリーミングは社会生活に最も大きな影響力を持つメディアになっていますが、産業の拡大とともに、ストリーミング産業としての責任の遂行、他産業との協議・協力が必要になり始めています。しかし、ストリーミングは、1兆円産業といいつつも、そのマーケットは広告、有料配信、企業向けと分かれており、業界全体がまとまるにはもう少し時間がかかりそうです。
一方、エンジニアリング面においては、いくつかの共同して取り組むべき課題もでてきています。しかし、ストリーミングに関わるエンジニアは、同じ技術を扱っていながらも、いろいろなマーケットやセグメントに分散しており横の繋がりが薄い状況です。
例えば、CTVやアドテクのような日々進化し続けている技術に関しては、詳細部分の差別化は必要としても、ベース部分については共同で調査や教育を行った方が良いと思われます。また、海外の技術団体(Atreaming Video Allianceなど)に対しても、国内技術グループとして交流を行える環境があったほうが国内の活性化に繋がります。
そのため、ストリーミングのエンジニアリングが集まった団体を設立し、更なる業界の拡大と、他団体や政府との連携や協議を行えればと思います。ただし、映画やテレビにおける技術団体のような有料のものではなく、ネットらしい無料かつオープンな組織を目指します。
スケジュール
フェイズ1(準備段階)
ストリーミングに関する議論ができる場所を運用します。当面は、ストリーミングに関する(以下のような)ネタを投げ込んでいきます。
- https://www.youtube.com/@streamingmediavideo
- https://www.nielsen.com/data-center/the-gauge/
- https://www.sandvine.com/phenomena
参加方法:以下のメーリングリストにご参加ください。
フェイズ2(本格活動)
2024年夏ごろから本格活動の予定です
具体的な活動
- 年1回程度のカンファレンス実施
- ワーキンググループによるアウトプット
ワーキンググループ候補
- CTV
- ストリーミングの受信端末はPC、スマホからTVへと移行しようとしてます。しかし、国内においてCTV関連の技術情報はまだ乏しく、早急な底上げが望まれます。
- アドテク
- さまざまな技術を活用した広告配信が行われつつあります。また、ビックデータやAI技術の活用も始まっており広範囲なエンジニアリング能力が必要とされています。
- QoE
- 視聴QoEの計測を行う事業者が増えてます。しかし、上手い見方や活用方法については確立していません。また、ISPやネットワークオペレータを交えた議論が必要になっています。
- ネットワークコスト負担問題
- Internetトラフィックの6~7割はストリーミングであり、ISP側からOTTに対して追加負担させようという動きがあります。OTT側にはこれに対応する力が必要です。
- 災害時における緊急対応
- 大規模災害が発生した場合、OTT側としては災害情報の優先や、使用トラフィックの抑制が必要となります。これらは、災害が起こった後に対策を考えるのではなく、予め業界全体として準備しておくことが望ましい対策です。
- ライブハンドリング
- ライブ現場でのTips等の共有を行います。
- ストリーミング動向調査
- ストリーミング関連の各種トレンド(トラフィック量、媒体接触時間等)をエンジニアリング視点で調査分析します。